りぅの風森

第71話

第71話 ライの旅その2
登場人物を軽く説明

ライ:雷竜族『サーンリデア族』の最後の生き残り
同族を滅ぼした人間に恨みを持っていて関係のない人間も嫌っている。

ラク:ドラグラースに住んでいた最後の人竜、翼がないがその分走りが早い
自称『伝説の事務屋』と名乗っていたことがある。

G(ジルディス・ビルレッド):人間で超腕利きの医者、人工呼吸が得意。
しかし本人によると『女性以外は診察せんっ!』と言い張る・・・・。

グアレイ:サーンリデアの畔に住んでいたハイドラゴンのお爺さん
ライに剣術を教えた本人で、今は吟遊詩人をやってるらしい。
ついでに十二聖戦竜の一人『レアル』の子孫で孫の『アシュラ』に魔剣を譲った。

ライヴィル:純潔雷竜族の最後の生き残り。聖戦竜『クルヴェース』の子孫だが
ライにその力を授けようとするが・・・・・

ミスト:カプトース鉱山の麓にある『リトアス』に住む白竜族の長だが・・・・それが何か?

そして物語は始まる。
ライ達は突如現れた白竜ミストに連れられてカプトース鉱山の麓にある街「リトアス」に立ち寄った
「ったく、お前のせいだぞ、G!」
ライはキレてGに八つ当たりした
「ちょ、ライ、落ちつけ」
ライはGの話を聞かずに殴り飛ばした
Gは左回転しながら勢いよく吹っ飛んだが、素早く着地した

ヒールウインド!!

Gは得意の回復魔法で立ち直った
「何をするっ!!」
「すまん、わざとだ」

「・・・・・」

「はぁ・・・それよりもあの森は危険だ、あいつを倒さない限りしばらくこの街から出ないようにしてくれ」
ミストが言った
「いや、しかし、私達はカプトース鉱山に行かなければならないのだ」
ライが腕を広げた
「そうか、ならば街の裏口から通って行くといい、鉱山の頂上まで続いている」
「すまないミスト、行くぞ!お前たち!」
「あぁ」
ライはラク達を引き連れてカプトース鉱山に向かった
ライと同じ雷竜族のライヴィルに会いに・・・・

ミストはライ達を静かに見送ったが首をかしげていた

『・・・・・雷竜族か、あいつ以外に生き残りがいたとはな』

そこへ村人が走って来た
「大変です、ミスト様! ドラゴンゾンビがすぐ近くまでっ!!」
「むぅ、この街を犠牲にして戦うのはまずいな、すぐに戦闘できるものを集めて今度こそ息の根を止めるぞ!!」
「分かりました、では私は仲間を集めてきます」

一方、カプトース鉱山の神殿に向かったライ達は魔物と戦っていた

剛竜旋っ!!

豪快に槍を振り回し、敵を吹っ飛ばすラク

「予想外だ、魔物がこんなに群れているとは」
ライ達の先には数百頭も群れをなしている狼のようなヘルバウンドがいた
一斉に襲い掛かって来るわけではないのだが、兎に角、戦闘回数がめんどくさい

「くっ、こいつら邪魔だ!!」
「一気にけりをつけるぞっ!!」
ライが先頭に、その後にラク、グアレイ、Gが猛ダッシュで追いかける

「邪魔だ退けェェェェェェっっっっっ!!!」

雷斬剣っ!! 光雷斬っっ!! 真空雷斬轟っ!!!

ライの連続攻撃が次々とヘルバウンドを切り捨てる
それはまるで時代劇の侍のようだ

「はぁ・・・くっ、これじゃぁキリがないっ!」
「わしに任せなさい」
今度はグアレイが先頭に立った

安息の眠りつけっ!! 眠りの微風!!

「無駄な戦闘は控えようぞ、では行くぞ、ライ殿」
「なるほど、眠らすという手があったな」
グアレイの魔法でヘルバウンドは一斉に眠りに陥った、しかし、数が多いせいかその光景は気味が悪い

しばらくしてライ達の視線の先に例の神殿が見えてきた
見た目はかなりの年代もので、草木に覆われ誰も立ち寄った形跡が無いように見える
「本当にいるんでしょうか? そのライヴィルとやらは」とG
「わからない、行ってみるしかないだろう」
そういうとライは神殿に入って行った
するとすぐに手紙の送り主を見つけることが出来た
彼は神殿の中の祭壇の上でライ達に背を向けて待っていた
「・・・・貴方がライヴィル殿?」
ライの頬に汗が伝う
異様な空気が辺りに漂っていた、まるで冷たい冷気・・・
「やっと着たか、翼があるのでもっと早く来るとは思ったのだがな」
するとライヴィルはライ達の方へ向いた
彼は物凄く老いているように見えたが
水浅葱色の鬣を生やし、薄い緑色の瞳でこちらを見ている
「すまない、私の連れには翼がなくてな・・・・」
「ふむ・・・まぁ、いいさ、お、お前は?」
ライヴィルの目にグアレイの姿が見えた
「久しぶりじゃの、ライヴィル」
「知っているのですか?グアレイ」
ライが思わずグアレイの方へ視線を向ける
「知っているも何も昔の仲よの、ライヴィル?」
「あぁ、長い間見なかったせいか、歳をとったかグアレイ?」
「わしはもう聖戦竜の使命を引退したからのぉ、今は吟遊詩人をしてるわい」
「そうか、それでアシュラが魔剣『ミィルグラス』を持っていたのだな」
「うむ」
「ところでライヴィル殿は、なんで私を呼んだのですか?」
ライが尋ねた
「簡単に言うと聖戦竜の力をお前に授けるためだ」
「どういうことです?」
「魔王が現れたというのはご存知だな?」
「えぇ、バハムートから聞いています」
「それでだ、魔王を倒すには莫大な力が必要となってくる、それで聖戦竜の力を受け継ぐものが立ち向かわなければならない」
「つまり貴方が戦うには時が過ぎすぎたと?」
「・・・・まぁ、そういうことだ」
「ですが、私はクルヴェースの直結の子孫ではない、私はサーンリデアの血族、聖戦竜の力など扱えるのでしょうか?」
そう、ライは聖戦竜クルヴェースとはあまり関係の無いサーンリデアの血族なのだ
サーンリデアの血族は普通の雷竜と違って青い稲妻『ブルーサンダー』が放てるのである
「大丈夫じゃよライ、雷、水、火、風、この4種の聖戦竜は武器ではなく神から魔法書を授かったのじゃ、魔法書はその性質のある程度の魔力があれば誰でも扱えることが出来る」
グアレイが説明してみせた
「ほへぇ~、そうなんだ」
「うむ、では力を授けよう・・・・と言いたいところだが、お前が本当に扱えるほどの力を秘めているのか確かめさせてもらう」
そういうとライヴィルは今までとは別人のように殺気を出した
「こ、こいつは凄いぞ」
ラクが身構えた
「まさか、戦う・・・のですか?」
「そうだ、ライ、お前の力を私に見せてみろ、1対1の真剣勝負だ」
「・・・なんですと!?」
するとG、グアレイ、ラクの周辺に魔力の霧が包み込む
「お前たちは手助けを出来ぬよう結界の中に閉じ込めた、そこで見守るのだな」
「ふむ、そういえばわしも孫に魔剣を渡した時に真剣勝負をしたのぉ」
グアレイが言った
「しかし、なんて強さだ、魔力が渦を巻いていやがる!ライは大丈夫なのか?」
「無事では済まんでしょうが、見守るしかないですよ、いざとなったら私の回復魔・・・ごはぁぁっ!!」
するとライの魔法がライヴィルの結界を貫通し、Gに直撃した
「お前に回復させられるのはごめんだぞ」
「仲間に酷いことするなぁ・・・いつものことか」とラク

「会話は済んだのか?」
気づくとライヴィルが物凄い殺気を出してライの前に立っていた
「貴方とこういうやり方で戦うハメになるとは思っていなかったよ、だけど私も本気を出そうじゃないか」
するとライはクレアフィングを手に取った
「ほぅ、雷竜族の家宝はお前が持っていたのか、賊が盗ったと思っていたが安心したぞ」
「・・・・ふん、行くぞっ!!」

『私が手に入れる前はガリシィルが持っていたんだが・・・・まさか、ガリシィルが盗んだ?・・・どうでもいいか』

サンダーアロー!!

ライの指先から雷撃の矢が一斉に12発放たれた
それは追尾効果もあり避けるのは困難だが、ライヴィルはそれを意図も簡単に回避する
「その程度かライ?、もっと本気をだせ!」

サンダーボルト!!!

ライヴィルの放った魔法はライを捕らえるように落ち、物凄い落雷音を出した
「ぐぁぁっ!!」
ライは回避できずにまともに攻撃を受けてしまった
体が焼けるように感電する
「くっ・・・くそっ!!」

ブルーサンダー!!

ライがとっさに放った蒼い稲妻、だが、ライヴィルは動じずに片手で受け止めた
「これがサーンリデアの血族でしか使えない魔法、ブルーサンダーか」
「効いてないだと!?」
「あたりまえだ、雷竜族は雷を操る竜、雷なんて技は雷聖竜の力を持った俺には特に最初から通用しない」

『強い、これが・・・聖戦竜の子孫?』

「蒼い雷は流石に放てないが、俺には魔界の雷を呼び出せるぞ」
「何だと、魔界の雷!?」
「加減はしてやる、こいつを食らえっ!!」

イービルライトニング!!!

黒い雷が地面を伝ってライに襲い掛かる
ライは直撃を避けるために光雷剣を投げて避雷針にした
ドガァァァァンッ ガシャァァァンッ!!
黒い雷は光雷剣に落ちて物凄い落雷音を発した
ピシィッ
光雷剣に皹が入った

「ほぅ、剣を避雷針にしたか」
「なんて強さだ、半端じゃないっ!?」
「余所見をしている暇は与えんっ! くらえっ!!」
するとライの背後に瞬時に移動すると鋭い刃物がライヴィルの手に現れた
「なにっ!?」
「・・・行くぞっ!!」

「荒れ狂う殺劇・・・」
ライの身体を瞬時に斬りつける ライはとっさに守りの体勢に入った
「乱れ飛べ!!、切り刻め!!、滅びの雷っ!!」
ライヴィルは物凄い速さで鋭い突きをライに放つ
ライは剣で受け止めたが、そのまま上空へ吹き飛ばされた
するとライの頭上に黒い雲が現れた
ライは回避に入ろうとするが、体が動かない、そのまま雲の中に入り込んで行く

雷凰連極閃っっ!!

ここでライヴィルは 刃物をライに向かって投げつけた
無数の黒い雷がライを襲う

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
ライの悲鳴が響く

「ライっ!?」
霧の結界の中でラクが呼びかける
「何が起こったんでしょう?」
Gは眼鏡を掛けなおした
「う~む、霧でよく分からんがライがやられているようじゃな」
グアレイは言った

しばらくしてライが地面に落ちてきた 全身が火傷に負われて、感電している
「ぐ・・ぅう・・・」

「まだお前がアレを使えるレベルではない・・・・か」
ライの元へライヴィルが寄って 回復魔法を唱えようとした時
ライは自力で立ち上がった、よく見るとまだ感電していて足が震えている
「はぁ・・・まだだ、まだやれる」
ライはそういうと剣を手に取り、身構えた
「・・・無理は止せ、お前は私には及ばん」
「やってみなきゃわからないだろっ!!! うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
するとライの周りに魔力の渦が取り巻いた、ライの目が紅に染まっていく
「なにっ!?」
ライヴィルは驚き戸惑った
ライは無言で瞑想を始める
ライの傷がみるみるうちに癒えていく・・・・

『自己治癒が出来るのか、しかも・・・一瞬で!?』

ライは目を見開くとクレアフィングで突きの構えをした
「ふっ、いいだろう、貴様に授ける聖戦の魔法で終らせる!」

するとライヴィルも魔法の詠唱に入った それと同時にライが無言で走り出す

『神々に伝わる、雷雨の閃光、大地を砕き敵を滅せよ!!!』
ライヴィルの詠唱速度は物凄く早かった、ライがたどり着く前に詠唱し終えたのだ
「私の方が早かったようだな」
「・・・・・」

ヴォルカニックサンダー!!!

ライに放たれた魔法は、地面を削るように無数の雷が襲い掛かった
ライはそれに構わず突っ込んできた
最後に黒い稲妻がライを襲ったが、それにも構わず真に受けて
そのままライはライヴィルの懐に入り込み、諸刃の斬劇を与えた
諸刃絶雷撃っ!!!
ライヴィルの右肩から斜めに腹部まで大きな傷跡が残る
物凄い血渋きが噴き、ライヴィルは地面に膝を落とす
「ぐっ・・・」
それと同時にライも気を失って地面に崩れ落ちた

ラク達の周りに張ってあった霧の結界が解けた
「どうやら戦いは終ったようだ」
「らしいですな」
「ライ殿、ご無事ですか!?」
グアレイの問いかけに返答がない
するとライヴィルがゆっくり立ち上がった
「心配するな、ライは死んではいない」
ライヴィルの声を聞いてGが素早く確認にした
「どうやら気を失っているようです。これは酷い怪我だ」
するとGは魔法の詠唱を始めた

運河に宿りし精霊よ、聖なる水で我らの救いたまえ

ヒールスプレッドッ!!

ライを起こすかのように水がどっと吹き出て外傷を全て癒した
「どぉうわっ!?」
ライは飛び跳ねて起き上がった
「ぉ、無事だったようだ」
「っざけんな!!」
するとライの左ストレートがGの眼鏡を砕け散りそのままGを殴り飛ばす
Gは体勢を整えて壁にたたきつけられるのを回避した
そして予備の眼鏡に素早く掛けなおす
「やりますねぃっ!」

『・・・・・』

ライヴィル達は沈黙した
一方、ドラゴンゾンビを退治しに行ったミストと村人達は苦戦していた
デーモンズブレスッ!!

ドラゴンゾンビの口から放たれる闇の吐息がミスト達を襲った
何人かは一瞬で影だけ残り、また何人かは酷い傷を負った
「くっ、半端じゃない強さだ・・・・」
「ミスト様っ! このままでは!!」
「気にせずどんどん攻撃しろ!」
「分かりましたっ! 全員 攻撃態勢に入れ!」
ミストが先頭に立ち、その後ろで何匹かの白竜と何人かの人間が攻撃の準備をしている
「殺れっ!!俺に続け!!」
村人達は一斉に攻撃に掛かった
しかし全く歯が立たない
ドラゴンゾンビからしたり落ちる死肉からは異種再生してゾンビ系のモンスターが無数に沸くのだ
「無限に沸くゾンビモンスター・・・そうか、光魔法だ!」

ミストは掌を叩くとなにやら詠唱を始めた

『聖なる光よ、太陽の日差しと化し、闇の者を光の世界へと浄化せよ』
日の出(サンライズ)!!!

物凄い光が太陽の日差しの如くドラゴンゾンビを襲った
「グォォォォォォ!?」
「よしっ、効いてるぞ! 皆、光魔法を放て! 放てない者は補助に回れ!」

すると次々に他の白竜達は光魔法を唱えた

ホーリーランス!!

光の槍が天空からドラゴンゾンビを襲う

ホーリーボルト!!

光の稲妻がドラゴンゾンビを襲う

セイクリッドフレイム!!

聖なる炎がドラゴンゾンビを焦がす

アーリアル!!

天空から巨大な光が灼熱と化しドラゴンゾンビを焼き尽くす

ホーリーバースト!!

白い閃光がドラゴンゾンビを貫いた

人間達も補助魔法を集中的に行う

バリア!

ミスト達の守備力が上がった

レジスト!

ミスト達の属性耐性が増幅した

ブレスバリア!!

ミスト達を吐息から身を守る光が辺りを包み込む

マジックバリア!!

ミスト達の魔法防御が上がった

アシッドスプラッシュ!

ドラゴンゾンビの防御力が下がった

シャープネスウインド!!

ミスト達の攻撃力が上がった
「ウガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・」

ミスト達の魔法を直撃したドラゴンゾンビはしばらく動かなくなったが
どんどん傷が癒えていく

「馬鹿な回復した!?」
「あれは瞑想か!?、まさか・・・奴が覚えているとは・・・・・・」

「フガガガガガガ・・・・・ウガァァァァァァァァァ」

光の波動!!

ドラゴンゾンビに掛かっている状態異常が全回復した
「何だと!?」
「ミスト様! 私達人間はもうマジックパワーがありません」
「くっ、仕方あるまい、お前達は村人を退避させ、西にある『グルーレフ』の街に逃げるんだ」
「・・・・くっ、分かりました。全員退却だ!」
ドラゴンゾンビに背を向けて 人間達は逃げ出した
「さて、どうする・・・・我々も逃げるか?」
ミストは隣にいた別の白竜に問いかけた
「俺達はあんたについていくぜ、同じ種族として見捨てるわけにはいかない」
「そうか、では俺達も逃げるぞ・・・といいたいところだが、俺はカプトース鉱山に用がある」
「カプトース鉱山に?」
「あぁ、これからはお前がこいつらを指揮してやれ、では俺は先に行く」
するとミストは魔法を唱えたて何処かへ去ってしまった
瞬間移動魔法リワープだ
「やれやれ、ミスト様は一体何を考えているのやら・・・・おい、お前達! 俺達も逃げるぞ」
ドラゴンゾンビが傷を癒している間に白竜達もその場から去っていった

ミストがワープした先はカプトース鉱山にある神殿の目の前だ
しかし、神殿はライとライヴィルが戦ったせいで完全に崩れている
「これはまた凄い・・・・あいつらは何処だ?」
ミストは辺りを見渡すと近くにライ達の姿が見えた
見つけるやすぐにライ達の元に駆け出し声を出す
「ライヴィル!!」
ミストはこう言った。どうやらライヴィルのことを知っているようだ
「どうした、ミスト・・・・そんなにあわてて」
「大変だ、街がドラゴ・・・・ん? どうしたんだその怪我は!?」
ミストは説明する最中にライヴィルの肩から腹部にかけての大きな斬り傷に気がついた
「あの魔法書をこいつに継がせようと思ってな、ちょうどその試験が終ったところだ」
ライヴィルはライの頭をぽんっと叩いた
「ほぅ、やっぱりあんたが雷竜族の生き残りだったのか」
「あぁ・・・」
「それよりミスト、どうしたんだ?」
「そうだ、街がドラゴンゾンビに襲われたんだ・・・」
「何!?」
誰もが驚いた
「ふむ・・・・そうか、残念だがあのドラゴンゾンビは我々では倒せない」
「どういうことだライヴィル?」
「あのゾンビは元は白竜族、ゾンビだから光魔法は弱いが奴は回復魔法が使える」
「そうだったのか」
「あいつを倒すにはもっと巨大な力が必要だ、我々聖戦竜のな・・・・」
ライヴィルは言った
「ふむ・・・・確かに我々ではダメじゃな」
グアレイは首を振った
「うん? なんでダメなんだ?」
ラクが首をかしげた
「爺さん、あんたも聖戦竜の子孫なのだろう?」
「そうじゃが、わしもライヴィルも年寄りじゃ、さほど強い力はもう持ってはおらぬ」
「その通りだ坊主、あいつを倒せるほどの力はもう残ってはいない」
「何か方法はないのか?」
ライは地面に刺さっている皹の入った光雷剣を手に取ると鞘に収めた
「確かこの大陸にいただろう?」
ライヴィルがグアレイに聞いた
「んぉ? 何がじゃ?」
「表の世界には出なかったが13番目の聖戦竜『ラグナロク』の子孫がいただろう?」
「・・・・13番目の聖戦竜じゃと!?」
グアレイはライヴィルの発言を疑った
「なんだ、知らないのか?」
「知らないもなにも『ラグナロク』は我々の祖先・・・聖戦竜達を裏切った奴ではないかっ!?」
「そんな昔の話をするな、俺も詳しくは知らない」
「なんなんだ? その13番目の聖戦竜とは?」
ライが問いかけた
「遙か昔にも、人と竜が争そったことはご存知だな?」
「あぁ」

ライヴィルは語り始めた

「その時に天空の精霊より12の聖戦器を授かったとドラグリア政府の履歴書には記されているが

実際は13の聖戦器を授かったのだ、少なくともこれは我々聖戦竜の子孫にしか伝えられていない

そして13番目の聖戦竜に選ばれたのは 鳳竜族の『ラグナロク』だ

『ラグナロク』は他の聖戦竜達とは比べ物にもならない強い聖戦器を手にした。

して、その聖戦器とは・・・・神懐器『フラタニティス』

これを手にした者は破壊と絶望の力を手に入れるが、少しでも気を緩めると自我を失い、

敵も見方も検討が付かなくなる、ゆわいるバーサーカーみたいになるらしい

『ラグナロク』はもう少しで平和になるところで気を緩めてしまい破壊の武器よにって自我を失ってしまった。

自我を失ったラグナロクに闇の者が目をつけて洗脳し、人間軍に肩入れすることになった

そして『ラグナロク』は邪神竜『バハムート』と戦うハメになりこの世を去った」

「あれ? それじゃあ子孫なんていないんじゃないのか?」
ラクがそこでツッコミを入れてみた
「・・・・・実は『フラタニティス』を手にする前にすでに彼には子を作っていたのだよ」
「ということは、その武器は今その子孫が持っていると!?」
「いや、『フラタニティス』はあれ以来バハムートが今も尚、何処かに大切に保管しているはずだが?」
「じゃぁ、子孫がいてもドラゴンゾンビを倒せないのでは?」
ここでまたラクがツッコミを入れてみた
「むぅ・・・・」
ライヴィルは黙ってしまった
「まて、話は最後まで聞くもんじゃ」
グアレイが言った
「ふむ、ところでその子孫は本当にこの大陸にいるのか?」
「ライは興味深々で聞いてみた」
「最果ての鉱山にいるはずだ、ここから西に行った所にある」
「最果ての鉱山?」
「あぁ、今も尚、竜殺しのために使われた剣、『ドラゴンバスター』を人間から守っているはずだ」
「ドラゴンバスターだと!?」
「ドラゴンバスターは人間が竜を撲滅する際に作られた兵器、そして殺された竜の怨霊が封印されている剣だ。その怨霊の数はざっと1万」
「ふむ・・・・兎に角、その最果ての鉱山に行ってみよう」
「あぁ、そうじゃな」
グアレイはそういうと翼を広げた
バサッ・・・
「道案内は私がしよう」
ライヴィルが先頭に立った
「ふむ、ミストはどうする?」
「俺か、そうだな・・・・暇だからお前達の旅に付き合ってやるよ」

そしてライ達はカプトース鉱山を後にするように旅立った。

続く